2026年9月14日

― 再検査だけでよい場合と、もう少し詳しく調べた方がよい場合
健康診断で、AST、ALT、γ-GTPなどの肝機能異常を指摘されることは珍しくありません。
特に症状はないけれど、「要再検査」や「要精密検査」と書かれている。
こうした結果を見て、
「もう一度採血すればいいのかな」
「しばらく様子を見ても大丈夫なのかな」
と迷われる方も多いと思います。
実際、肝機能の数値は一時的に変動することもあり、再検査で経過をみることが適切な場合もあります。
一方で、肝機能異常をきっかけに、脂肪肝や肝炎、薬剤の影響など、原因を一度整理しておいた方がよい場合もあります。
今回は、健康診断で肝機能異常を指摘されたときに、どのように考えていくのかをご説明します。
「肝機能異常」は病名ではありません
AST、ALT、γ-GTPなどの数値が高いからといって、原因が一つに決まるわけではありません。
代表的なものとしては、
脂肪肝
飲酒による影響
B型肝炎・C型肝炎
薬剤やサプリメントによる肝障害
などがあります。
頻度は高くありませんが、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎(PBC)などが原因となることもあります。
また、ASTは肝臓だけでなく筋肉などにも含まれるため、肝臓以外の影響で上昇する場合もあります。
つまり、肝機能異常は「診断」ではなく、
なぜこの数値になっているのかを考えるための入口
と考えるのがよいでしょう。
まず確認したいのは、数値の「上がり方」です
肝機能異常をみるときには、AST、ALT、γ-GTPだけでなく、ALP、ビリルビン、アルブミン、血小板なども参考にします。
AST・ALTが中心に上がっているのか。
γ-GTPやALPも上昇しているのか。
以前の健康診断でも同じような異常があったのか。
今回だけなのか、数年続いているのか。
こうした違いによって、考える原因や必要な検査は変わります。
診察で確認することも大切です
肝機能異常というと、まず飲酒量を聞かれることが多いと思います。
ただ、確認するのはそれだけではありません。
体重の変化、糖尿病や脂質異常症の有無、服用している薬、漢方薬、健康食品、サプリメントなども重要です。
必要に応じて、B型肝炎・C型肝炎の検査を追加します。
また、数値のパターンや経過によっては、自己免疫性肝炎を考えて抗核抗体やIgGを調べたり、原発性胆汁性胆管炎を考えて抗ミトコンドリア抗体を調べたりすることもあります。
同じ「肝機能異常」でも、全員が同じ検査を受けるわけではありません。
血液検査と画像検査では、分かることが違います
肝臓の状態を調べる方法は、血液検査だけではありません。
腹部超音波検査では、脂肪肝の有無や肝臓の形態、胆のう・胆管などを観察することができます。
血液検査は肝臓の働きや障害の程度を考える手がかりになりますが、肝臓そのものの形を見る検査ではありません。
そのため、血液検査や診察の内容から必要と判断した場合には、腹部超音波検査を組み合わせます。

さらに詳しい評価が必要な場合には、CTなどの画像検査を検討することもあります。

もちろん、肝機能異常を指摘されたすべての方に超音波やCTが必要なわけではありません。
大切なのは、
その方にとって、今どの検査が必要なのかを考えることです。
「再検査で様子を見る」ことが適切な場合もあります
肝機能異常が軽度で、一時的な変化が考えられる場合や、原因がある程度明らかな場合には、生活習慣を見直しながら一定期間後に再検査することもあります。
再検査がよくないわけではありません。
問題は、
なぜ再検査でよいのか、あるいはなぜ追加の検査が必要なのか
を整理しておくことです。
精密検査は「たくさん検査すること」ではありません
私たちは、精密検査とは、検査の数を増やすことではないと考えています。
異常値を確認し、
何が原因として考えられるのかを整理し、
必要な検査を選ぶ。
採血だけで十分な方もいます。
腹部超音波を追加した方がよい方もいます。
さらに詳しい血液検査やCTが必要になる方もいます。
その方に必要な検査を組み合わせて、原因を一つずつ整理していくことが大切です。
健診結果は、そのままお持ちください
MediK 与野内科クリニックでは、健康診断の結果を確認し、これまでの経過や生活背景などを伺ったうえで、必要な検査をご相談しながら決めています。
院内では血液検査、腹部超音波、CTなどを行うことができますが、すべての検査を行うことが目的ではありません。
必要なものを選び、必要のない検査は行わない。
そのうえで、さらに専門的な検査や治療が必要な場合には、適切な医療機関へご紹介します。
健康診断で肝機能異常を指摘された方は、結果表をそのままお持ちください。
その数値が何を意味しているのかを整理するところから、一緒に考えていきます。
