脂質異常症
脂質異常症
当院の内科では、将来の深刻な血管トラブルを防ぐための最重要課題の一つとして、脂質異常症(高コレステロール血症・高トリグリセリド血症)の早期発見と、一人ひとりに合わせた適切な脂質管理に非常に力を入れています。
脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪のバランスが崩れた状態を指します。脂質異常症は初期には自覚症状がほとんどありません。そのため、健康診断で「再検査」や「要治療」と判定されても、「痛くも痒くもないから」「体型が変わっていないから大丈夫」と放置してしまう方が非常に多いのが現状です。
しかし、自覚症状がない間にも、血液中に溢れた過剰な脂質は体中の血管の壁に少しずつこびりつき、血管を硬く狭くしていく「動脈硬化(どうみゃくこうか)」を確実に進行させていきます。ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる重大な病気を引き起こす引き金となるため、脂質異常症は「サイレントキラー(静かなる殺人者)」の代表格とされています。
当院では、コレステロールや中性脂肪の数値だけでなく、最新の医療機器を用いて動脈硬化や内臓脂肪、脂肪肝の状態も含めて総合的に評価し、患者さん一人ひとりに合わせた治療と生活習慣の改善をサポートしています。

脂質異常症そのものには自覚症状がありませんが、以下のような生活習慣や体質の変化に心当たりはありませんか?これらは血液中の脂質が乱れ、動脈硬化のリスクが高まっているサインかもしれません。
健康診断でコレステロールや中性脂肪の異常を指摘された方はもちろん、「数値は高いが本当に治療が必要なのか分からない」という方もお気軽にご相談ください。当院では血液検査の数値だけでなく、動脈硬化の進行状況まで含めて総合的に評価しています。
「健康診断の数値が少し高めだけど、毎年同じだから大丈夫」と自己判断で見過ごしてしまうのは非常に危険です。特に、遺伝的な要因でコレステロールが極端に高くなる「家族性高コレステロール血症」という体質をお持ちの方は、若い世代でも動脈硬化が進行しやすいため、早めの受診をおすすめします。
健康診断の血液検査では、主に以下の3つの脂質項目の数値をチェックし、いずれか一つでも基準値を外れている場合に「脂質異常症」と診断されます。
高LDLコレステロール血症
(いわゆる悪玉コレステロールの過剰)
診断基準:LDLコレステロール値が 140mg/dL 以上
LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれています。肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞へ運ぶ役割を持っていますが、増えすぎると血管の壁に入り込んで蓄積し、プラーク(ドロドロとした塊)を作って動脈硬化を直接引き起こす最大の原因となります。
低HDLコレステロール血症
(いわゆる善玉コレステロールの不足)
診断基準:HDLコレステロール値が 40mg/dL 未満
HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれています。全身の余分なコレステロールを回収して肝臓へと戻す、いわば血管内の掃除屋のような役割を持っています。この数値が低いということは、血管内の掃除が十分に行われず、動脈硬化が進みやすい状態にあることを意味します。
高トリグリセリド血症
(中性脂肪の過剰)
診断基準:トリグリセリド(中性脂肪)値が 150mg/dL 以上
中性脂肪は、私たちの体の大切なエネルギー源ですが、食べすぎや飲みすぎによって増えすぎると皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。中性脂肪自体が直接血管を詰まらせるわけではありませんが、中性脂肪が増えると悪玉(LDL)をさらに凶悪なサイズ(小型LDL)に変質させ、善玉(HDL)を減少させるため、間接的に動脈硬化を強力に推し進めます。
脂質異常症を治療する究極の目的は、数値を下げることそのものではなく、「動脈硬化の進行を食い止め、命に関わる血管の重大な病気を未然に防ぐこと」にあります。
血液中の悪玉コレステロール(LDL)が過剰になると、血管の最も内側にある膜の隙間に入り込んで酸化します。すると、体内の免疫細胞がこれを異常事態と判断して処理しようと集まりますが、コレステロールを溜め込みすぎて自滅し、血管の壁にドロドロとしたお粥のような塊(プラーク)を形成します。
これにより血管の壁がどんどん厚く硬くなり、本来のしなやかさを失ってしまいます。これが動脈硬化です。
動脈硬化が進んで狭くなった血管に、何らかの拍子でプラークが破れて血栓(血の塊)が詰まると、その先の組織に血液がいかなくなります。
これらは何の前触れもなく、ある日突然発症します。だからこそ、何の症状もない脂質異常症の段階から適切に数値をコントロールしておくことが、最高の予防策になるのです。
当院では院内迅速血液検査システムを導入しており、必要に応じて当日の血液データを確認しながら治療方針をご相談いただけます。
脂質異常症の治療目的は、単にコレステロール値を下げることではなく、将来の心筋梗塞や脳梗塞を予防することです。
当院では、頸動脈エコー検査、ABI検査、心エコー検査、CT検査などを活用し、動脈硬化や心血管疾患のリスクを総合的に評価しています。
ABI検査では、腕と足の血圧を比較することで動脈硬化の程度や血管年齢を客観的に評価することが可能です。また、頸動脈エコー検査では脳梗塞の原因となる頸動脈プラークの有無を確認することができます。
血液検査の数値だけでは分からない動脈硬化の進行状況を評価し、一人ひとりに適した治療方針をご提案しています。
脂質異常症は、脂肪肝や内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)と深く関係しています。
当院では、Canon Medical社製の最新超音波診断装置であるAplio flexを導入しています。AI技術を活用した画像解析支援機能を搭載し、脂肪肝評価にも対応しています。
また、CTには内臓脂肪測定機能を搭載しており、内臓脂肪面積を定量的に評価することが可能です。
脂肪肝や内臓脂肪の蓄積は、脂質異常症だけでなく糖尿病や高血圧、動脈硬化とも密接に関連しています。当院では生活習慣病全体を総合的に評価し、将来の心筋梗塞や脳梗塞の予防につなげています。
当院での脂質異常症治療は、まず基本となる「生活習慣の改善(食事・運動)」から始めます。それでも目標値に達しない場合、またはすでに動脈硬化のリスクが極めて高いと判断される場合には、適切に「薬物療法」を組み合わせていきます。
脂質異常症の多くは、日々の食生活や運動不足が深く関係しているため、生活習慣を見直すだけで数値が劇的に改善するケースも少なくありません。
食事療法のポイント
悪玉(LDL)コレステロールが高い方は、肉の脂身、バター、卵黄、内臓類などに多く含まれる「飽和脂肪酸」の摂取を控えめにし、代わりに青魚(EPA・DHA)や植物性油(オリーブオイルなど)、大豆製品、コレステロールの排出を促す食物繊維(野菜・海藻・きのこ類)を積極的に摂るようにします。中性脂肪が高い方は、アルコールや甘いお菓子、炭水化物(白米や麺類)の摂りすぎに注意することが最優先となります。
運動療法のポイント
ウォーキングや軽いジョギングなどの「有酸素運動」を定期的に行うことで、中性脂肪を減らし、善玉(HDL)コレステロールを増やすことができます。1日30分以上、週3回以上を目標に継続しましょう。
食事や運動を数か月間がんばっても数値が改善しない場合や、糖尿病・高血圧などの持病がある方、過去に心筋梗塞を起こしたことがある方の場合は、血管を守るために速やかにお薬による治療を開始します。
現在は安全性が高く効果的な薬剤が多数あります。最も代表的なものは、肝臓でのコレステロール合成を強力に抑える「スタチン」というお薬です。このほかにも、小腸からのコレステロール吸収をブロックするお薬や、中性脂肪を下げることに特化したお薬などがあり、患者さんの検査データや体質に合わせて最適な薬剤を選択します。
「一度薬を飲み始めたら一生やめられないのではないか」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、生活習慣が改善されて数値が安定すれば、お薬の量を減らしたり、場合によっては休薬したりすることも十分に可能です。お薬は血管を保護するための心強い味方ですので、医師と相談しながら前向きに治療に取り組んでいきましょう。皆さまのご相談をいつでもお待ちしております。
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