睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、「いびきがひどい人の病気」と思われることが少なくありません。
しかし現在では、高血圧、糖尿病、不整脈、心不全、脳卒中、心筋梗塞など、多くの生活習慣病や循環器疾患と深く関係していることが分かっています。
実際に私たちが日々診療している患者さんの中にも、
といった症状の背景に、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。
当院では一般内科診療に加え、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病診療、人間ドックや健康診断にも力を入れています。
健康診断で高血圧や肥満、糖尿病、心電図異常などを指摘された方の中には、睡眠時無呼吸症候群が関係しているケースも少なくありません。
私たちは、睡眠時無呼吸症候群を「いびきの治療」としてではなく、「健康寿命を延ばすための内科診療の一つ」と考えています。
また、睡眠時無呼吸症候群は診断することがゴールではありません。
高血圧や糖尿病、不整脈との関連を踏まえ、生活習慣の改善や適切な治療につなげることが重要です。
睡眠時無呼吸症候群には、気道が閉塞して起こる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と、脳からの呼吸指令が低下して起こる「中枢性睡眠時無呼吸症候群」があります。成人の睡眠時無呼吸症候群の90%以上は閉塞性であり、このページでは主に閉塞性睡眠時無呼吸症候群について説明します。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まる疾患です。睡眠中、平均して1時間に5回以上起こり、それぞれ呼吸停止が10秒以上認められる場合には、この疾患の可能性があります。代表的な症状は“いびき”で、眠りが浅くなるため、日中に強い眠気や倦怠感を生じることがあります。放置すると、血管・心臓・脳に大きな負担がかかり、高血圧症や狭心症、心筋梗塞、脳卒中などを合併することもあります。
日中の眠気や集中力低下は、仕事のパフォーマンス低下だけでなく、運転中の事故や労働災害にもつながる可能性があります。
原因には鼻から喉頭(のどぼとけ)にかけての狭窄があります。肥満による首や喉(のど)まわりの脂肪沈着、あごが十分発育していない小顎症、扁桃肥大、加齢などが関係し、気道が狭くなることでいびきや無呼吸が生じます。また加齢や睡眠時における呼吸の調節能力の低下など、機能的な要因も関連します。
睡眠時無呼吸症候群は、ご家族やパートナーが先に気づくことが多い病気です。次のような症状がある方は、一度検査をご検討ください。
特に「十分寝ているはずなのに眠い」「家族からいびきや無呼吸を指摘された」「血圧の治療をしているのに数値が安定しない」という方は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
医師による診察+ご自宅で行える簡易検査キットのお渡し
いびき、日中の眠気、起床時の症状、ご家族からの指摘内容などを確認します。
検査機器をご自宅へお持ち帰りいただき、一晩装着していただきます。
入院の必要はありません。
※検査機器の返却日については診察時にご案内いたします。
結果説明と治療方針の説明
検査結果をご説明し、睡眠時無呼吸症候群の有無や重症度を評価し、今後の精査や治療方針を相談します。
当院では初診当日に検査機器をお渡しできるため、多くの場合は「初診」と「結果説明」の2回の診察で検査を完了できます。
睡眠時無呼吸症候群の検査には、ご自宅で行える簡易検査と、専門医療機関で行う精密検査(PSG検査)があります。
簡易検査は、ご自宅で普段通りに眠りながら検査を受けられるため、身体的・時間的な負担が少ないことが特徴です。
また、中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群の発見に特に有用な検査です。
検査結果によってはCPAP療法の導入につながる場合もあります。
一方で、軽症の睡眠時無呼吸症候群や詳細な睡眠状態の評価には限界があるため、必要に応じて精密検査(PSG検査)をご案内いたします。
当院ではまず負担の少ない簡易検査から行い、症状や検査結果に応じて適切な治療方針をご提案しています。
治療には対症療法と根治療法があり、症状の程度や原因に応じて選択します。
代表的な対症療法には、マウスピース療法やCPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)があり下記に簡単な治療イメージを表にしました。
マウスピース療法
マウスピース療法は軽症に適した治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸やいびきの発生を防ぎます。
CPAP(シーパップ)療法
CPAP療法は主に中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群に対して行われる治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療します。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。
根治療法
原因が肥満の場合は減量が根治療法であり、対症療法を組み合わせて進めます。あごの小ささや扁桃肥大などが原因の場合は、手術が根治療法となります。鼻疾患を有している場合、マウスピースやCPAP療法で十分な効果が得られないことがあります。このような場合も手術が検討されます。
このほかに、口呼吸の予防・治療に有効な口腔筋機能療法や、寝る向きを矯正する体位療法などが有効なこともあります。
| 重症度(AHI) | 一般的な治療方針 |
|---|---|
| 軽症(5~15) | 生活習慣改善、減量、マウスピース療法など |
| 中等症(15~30) | CPAP療法を検討 |
| 重症(30以上) | CPAP療法が推奨されます |
※AHIは1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数を示す指標です。実際の治療方針は、眠気の程度や高血圧・糖尿病・不整脈などの合併症の有無も考慮して決定します。
睡眠中に無呼吸を繰り返すと、体は酸素不足の状態となり、そのたびに交感神経が活発になります。すると本来であれば睡眠中に下がるはずの血圧が十分に下がらず、血管や心臓に負担がかかります。
といった方では、睡眠時無呼吸症候群が関係している可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群を適切に治療することで、血圧の改善が期待できる場合もあります。
肥満によって首や喉の周囲に脂肪がつくと気道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。
一方で、睡眠中の無呼吸による低酸素状態や睡眠の質の低下は、血糖値を調整するインスリンの働きにも影響を与えるため、糖尿病の発症や悪化につながることがあります。
肥満と睡眠時無呼吸症候群は互いに悪影響を及ぼし、糖尿病の発症や悪化につながることがあります。
睡眠時無呼吸症候群は健康診断だけで直接診断できる病気ではありません。しかし、高血圧、肥満、糖尿病、不整脈などを指摘された方の中には、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。
当院では人間ドックや健康診断の結果説明にも対応しており、必要に応じて睡眠時無呼吸症候群の検査や治療をご提案しています。
放置すると血管・心臓・脳に大きな負担がかかり、高血圧症、心不全、不整脈、脳卒中、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)などの循環器疾患を合併するリスクが高まります。また、日中の強い眠気により、自動車の運転中の事故や仕事上のミスなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
いいえ、肥満による首や喉(のど)まわりの脂肪沈着は原因の一つですが、それだけではありません。あごが十分に発育していない小顎症(しょうがくしょう)、扁桃肥大、加齢による気道の狭窄なども原因となります。やせている方でも発症することがありますので、症状に心当たりのある方は体型に関わらず受診をお勧めします。
はい。簡易検査は指先や鼻の下、胸部などにセンサーを装着するだけで行うため、痛みを伴う検査ではありません。ご自宅で普段通りに眠りながら受けていただけるため、負担の少ない検査です。
当院では初診時に診察を行い、そのまま簡易検査機器をお渡しすることが可能です。多くの場合は「初診」と「結果説明」の2回の診察で検査を完了できます。検査機器の返却日については診察時にご案内いたします。
必ずしも一生続けなければならないわけではありません。体重減少や生活習慣の改善によって症状が軽減し、治療内容を見直せる場合があります。
はい、睡眠時無呼吸症候群の検査および治療は保険診療の対象です。CPAP療法は月に一度の通院で継続的に治療を行います。費用についてはお問い合わせください。
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