バレット食道
バレット食道
当院では、長引く胸やけや胃酸の逆流を背景に見つかることがあるバレット食道について、胃内視鏡検査による確認と、リスクに応じた経過観察を行っています。
バレット食道とは、本来は白っぽい扁平上皮で覆われている食道下部の粘膜が、胃酸や胆汁を含む胃内容物の逆流に長くさらされることで、胃や腸に似た円柱上皮へ置き換わった状態です。これは、慢性的な逆流刺激に対する粘膜の変化と考えられています。
バレット食道そのものが強い痛みを起こすわけではありません。しかし、一部では食道腺がんの発生と関係するため、範囲や粘膜の状態を内視鏡で確認し、必要に応じて経過観察を行うことが重要です。日本では短い範囲のバレット食道が多く、すべてが高リスクというわけではありませんが、長引く逆流症状、肥満、喫煙、バレット食道の指摘歴がある方はご相談ください。
当院では、通常光観察に加え、画像強調観察、拡大内視鏡、CAD EYEによるAI診断支援を活用し、食道と胃の境目を丁寧に観察します。AIは医師の診断を置き換えるものではありませんが、病変が疑われる部分の検出を補助します。また、内視鏡検査室には青色系の補助照明を取り入れ、落ち着いて検査を受けていただける環境づくりにも配慮しています。検査が不安な方には、経鼻内視鏡や鎮静剤を使用した胃カメラもご提案できます。

バレット食道自体には特有の症状がないこともありますが、その背景には逆流性食道炎や胃酸逆流が関係していることがあります。以下のような症状や生活習慣に心当たりはありませんか。
「いつもの胸やけ」と思って市販薬だけで様子を見ていると、逆流性食道炎やバレット食道の状態を把握できないまま時間が経過することがあります。飲み込みにくさ、体重減少、黒色便、貧血、強い胸痛がある場合は、他の病気が隠れている可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。
バレット食道は、胃酸逆流の期間や範囲、粘膜の状態によってリスクが異なります。まずは内視鏡で、どの範囲に粘膜変化があるか、炎症やがんを疑う所見がないかを確認することが大切です。
食道の粘膜は、食べ物が通る摩擦には強い一方で、胃酸には弱い性質があります。逆流性食道炎などで胃酸や胃内容物が繰り返し食道へ上がると、食道下部の粘膜に慢性的な炎症が起こります。
炎症を繰り返すうちに、食道の粘膜が胃や腸に似た円柱上皮へ置き換わることがあります。これがバレット食道です。バレット食道は、逆流から身を守るための粘膜変化とも考えられますが、一部では将来的に食道腺がんと関係することがあります。
バレット食道は、食道と胃の境目からどのくらい食道側へ広がっているかによって、短いタイプと長いタイプに分けて考えられます。
ショートバレット食道
バレット粘膜の範囲が3cm未満の短いタイプです。日本ではこのタイプが多く、食道腺がんへ進む頻度は欧米に比べて高くないとされています。ただし、リスクがゼロではないため、範囲、炎症の程度、粘膜の状態、家族歴、生活習慣などを踏まえて経過観察を検討します。
ロングバレット食道
バレット粘膜が3cm以上に及ぶタイプです。ショートタイプよりも食道腺がんとの関連が強いとされ、より慎重な内視鏡観察が必要になります。日本では多くありませんが、肥満、長期の逆流症状、喫煙などがある方では注意が必要です。
バレット食道の有無や範囲、炎症の程度、がんを疑う変化の有無を確認するには、胃内視鏡検査が重要です。症状だけでは、逆流性食道炎、バレット食道、食道がん、胃がん、好酸球性食道炎などを区別できないことがあります。
当院では、通常光観察に加え、画像強調観察や拡大内視鏡を活用し、食道・胃・十二指腸を丁寧に観察します。バレット食道では、食道と胃の境目の位置、バレット粘膜の長さ、炎症、びらん、隆起や陥凹などを確認します。
画像強調観察では、粘膜の色調変化や血管の見え方を確認し、拡大内視鏡では病変が疑われる部分の表面構造や血管の模様を詳しく観察します。必要に応じて組織を採取し、病理検査で異形成やがんの有無を確認します。
また、富士フイルムの内視鏡診断支援機能「CAD EYE」によるAI診断支援も併用し、病変が疑われる部分の検出を補助します。AIは医師の診断を置き換えるものではありませんが、通常光観察、画像強調観察、拡大観察と組み合わせ、より丁寧で質の高い内視鏡検査を目指します。
検査室には青色系の補助照明を取り入れ、患者さんが落ち着いて検査を受けられる環境づくりにも配慮しています。検査が不安な方には、経鼻内視鏡や鎮静剤を使用した胃カメラもご提案できます。鎮静剤を使用した場合は、検査後にリカバリーベッドで休憩していただきます。
バレット食道と診断された場合、すでに置き換わった粘膜を薬で完全に元に戻すことは難しいとされています。そのため、治療と管理では、胃酸逆流を抑えて炎症をコントロールすること、がんを疑う変化を早期に見つけることが重要です。
胸やけ、呑酸、食道炎がある場合は、胃酸分泌を抑える薬を使用します。代表的な薬には、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)があります。これらは胃酸を抑え、食道粘膜への刺激を減らし、逆流性食道炎の症状や炎症の改善を目指します。
ただし、薬を飲めば必ずバレット食道が消えるわけではありません。症状が落ち着いても、逆流を起こしやすい体質や生活習慣が残っている場合は再発することがあります。内服の継続や減量・休薬は、症状や内視鏡所見を確認しながら判断します。
薬物療法とあわせて、逆流を起こしにくい生活へ整えることが大切です。脂っこい食事、食べすぎ、夜遅い食事、飲酒、喫煙は症状を悪化させることがあります。食後すぐ横にならない、夕食を就寝直前にしない、腹部を締め付ける服装を避ける、体重を適正に保つことも重要です。
夜間の逆流がある方では、上半身を少し高くして寝る、左側を下にして寝るなどが役立つ場合があります。便秘や前かがみ姿勢がある方では、腹圧を下げる工夫も再発予防につながります。
バレット食道の管理では、症状の有無だけでなく、内視鏡で粘膜の状態を定期的に確認することが大切です。ただし、すべての方に一律で年1回の胃カメラが必要とは限りません。バレット食道の長さ、炎症の程度、異形成の有無、年齢、生活習慣、家族歴などを踏まえて、検査間隔を相談します。
特に、ロングバレット食道、異形成を疑う所見がある場合、過去に病変を指摘された場合は、より慎重なフォローが必要です。がんを疑う変化を認めた場合は、組織検査を行い、必要に応じて専門医療機関へ紹介します。バレット食道と言われたことがある方、胸やけが長引く方、検査間隔に不安がある方はご相談ください。
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